「言われてもできなかった子」が、「言われなくてもできる子」になる瞬間
勉強をする、となると、大抵の場合は塾に行ったり家庭教師に来てもらったり、ということになるわけですが、
塾に行く場合でも家庭教師をつける場合でも、「成績の上がる子」というのは、ある共通点があります。
それは、どこかのタイミングで、
「自分で自分の勉強につき考えられるようになる。」
ということです。
最初から自分ですべてできる子は少ないですが、いつまでも塾の先生や家庭教師、場合によってはお母さん・お父さんに、
「次に何を勉強したらいいの?」
「宿題はどこ?」
ときくだけで、受け身の姿勢のままでいるような場合は、
なかなか成績は上がってゆきません。
逆に、最初のうちは、手取り足取り指導し、勉強の内容はもちろんのこと、やり方から計画まで全て教えないと何もできないような子であったとしても、
指導後しばらく経った後に、自分で自分の勉強につき考えられるようになってくると、自ずと成績も上がってきます。
そうなるのが1ヶ月後なのか、3ヶ月後なのか、半年・1年後なのかは、個々人によって異なります。早ければ早いほどいいかというと、そんなことはなく、
「その子にとって適切な時期に、ベストのタイミングで」
というのがポイントです。
今指導している小6の男の子(仮にRくんとしておきます。)の場合も、
指導開始当初は、集中力ももたず、理解できないことが出てくるとすぐにあきらめるような子でしたが、
少しずつ少しずつ厳しい指導にも耐えられるようになってゆき、
今や、
「先生、こないだのテストは92点だったよ。
今日は、これとこれとこれをやったらいい?」
などと、自分から進んで言ってくれるほどになりました。
同一人物とは思えないほどの(笑)、変容ぶりです。
こうなれば、教師の側からすると、
「よくぞここまで成長してくれた。よしっ!ここからさらにステップアップしていってもらおう。」
と、次のレベル、さらに次のレベルへと、その子を引き上げてゆくことができるようになるのです。
では、どのようにすれば、Rくんのように自立心が全くなく、意識も低かった子が、自立性に目覚め、高い意識を持って勉強を進めてゆくようになってゆくのでしょうか?
それは、
「その子が自分で決定する範囲を徐々に増やしてゆく。」
ことによって可能です。
例えば、
「宿題を出すかどうか。」
こんなことまで子どもに決めさせていたのでは、特に意識の低い子などは、
「宿題は出さないで。」
と言うに決まっています。
ですから、「宿題は出す。」ということ自体はこちらで決める。
そこで、「えー〜ー!?宿題出すの!?」とその子が食ってかかってきた(笑)場合は、
「もし宿題を出さなかったら、今後どうなってゆくのか。もし宿題を出したとしたら、今後どうなってゆきそうか。」
を、徹底的に考えさせます。
そうすれば、
「じゃあ、もう1回きくで。宿題出す?出さない?」
ときくと、
「少し出す。」
とか言ってくれます(笑)。
そこでこちらが、
「よっしゃ。じゃあ、何ページから何ページまで宿題にするかは、自分で決めて。」
と言うと、
その子は、
「じゃあ、32ページだけやる!」
とか言ってくれます(笑)。
ここで、多くの大人が、ある間違いをおかします。
「え!?32ページだけ!?もっとできるんじゃないの?」
と。
これは、やり過ぎです。
さっきまで、「宿題は出さない。」と決めていた子が、「宿題、出す。」と言うようになったのですから、そのときはそれで十分なのです。
大人はすぐ、「これができたなら、こっちもできるはずだ。こっちができるなら、あっちはどうだ。」と、
一度に何歩も歩ませようとしますが、
子どもはそんな風には行動しません。
ですから、
「一度に進ませるのは、一歩だけ。」
と決めておくことです。
そして、その一歩を確実に踏み出したことを、大いに褒めてあげる。
そうすれば、例えば、次の授業の際に、
「おー!言った通りちゃんと宿題やってきてエラいなあ。」
とまず最初に褒めちぎった後(笑)、
授業終了時に、
「じゃあ、宿題の範囲決めようか。」
となったとき、大概の場合、こちらが何も言わなくても、子どもの側から、
「先生、今日は37ページと38ページを宿題にするわ。」
と言ってくれるので、
こちらは、心の中で、「よっしゃ!この調子。」とガッツポーズを決めながら(笑)、
「え!?そうなん!?大丈夫?2ページもできる?」
と、しれ〜っと言ったりします。
そうすると、
「何言ってんの、先生。それぐらいできるに決まってるやんか!」
と言ってくれたりすれば…
もう大丈夫です。
この子の自立性、前向きな気持ちはどんどん高まってゆくでしょう。
ですから、
「自分で決定する範囲を徐々に増やしてゆく。」
そして、
「一度に進ませるのは、一歩だけ。」
これですね。
参考になれば幸いです。
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